
無垢材住宅のメリット・デメリット~住んでみて分かったこと~
我が家の紹介
本題の前にまずは我が家を簡単にご紹介したいと思います。我が家は2014年に地元の工務店にて無垢材の注文住宅というかたちで建築しました。
柱やフローリングは九州産の杉の木。壁面は珪藻土(珪藻土を含むクロス)、断熱材は新聞紙を原材料にしたセルロースファイバーという素材を利用するなど「天然」「健康」に配慮した住宅となっています。
加えて、太陽光発電や太陽熱を利用した蓄熱システムなど住宅の機能面にも配慮したものとなっています。その分、単価もかなり上がってしまうのですが、補助金などを活用することで何とか乗り切ることが出来ました。
無垢材の家は快適
結論から言うと、無垢材の家は非常に快適で満足しています。「一定」の方々には強くおススメ出来きます。「一定」に含みがあるんですが、無垢材の家には性質(特徴)があります。この性質をどのように捉え感じるのか?これによって満足度は大きく変わってきます。
無垢材のメリット
経年変化を楽しめる
私は一番のメリットとして考えています。人工的に作られた素材である「新建材」にて建てられた家は新築時が最も美しいのですが、時間経過と共に劣化が進み価値は低下していきます。
しかし、無垢材の場合は新築時の美しさも当然あるんですが、時間経過と共に木材が深いあめ色に変化していき、何とも言えない味わいが生まれてきます。
良い香り
杉の木の爽やかな香りに包まれて暮らせます。良い香りの正体は「フィトンチッド」と呼ばれる精油成分だそうです。「フィトンチッド」はリラックス効果に加えて、抗菌や防虫作用なども期待できる成分と言われています。
我が家は建築して5年経(2020.1時点)ちますが、職場の人達からは〇〇さんは「木の良い香りがする」と言われます。多分、衣服などの持ち物にも香りが移っているのかもしれませんね。
私自身は慣れのせいか、普段の生活で香りを意識することはありません。ただ、旅行などで数日ぶりに家に戻って玄関を開けると、フワリと木の香りを感じることが出来ます。
肌触りが良い
多くの方の共感を得ることが出来ると思いますが、無垢材の床を裸足で歩くのは最高に気持ちが良いです。夏はサラリとした感触。冬は温もりを感じることが出来ます。この感触の良さは、後述する無垢材がもつ湿度・温度をコントロールする力が作用しているようです。
湿度コントロール
無垢材は自身の中に多くの水分を溜め込むことが出来ます。また、ただ溜め込むだけではなく周囲(室内)の湿度に応じて水分の出し入れを行うことが出来ます。具体的には室内が過湿の場合は水分を吸収します。逆に乾燥の場合は水分を放出します。つまり、室内の湿度を一定に保つ機能があると言えます。
ただ、さすがに梅雨時はジメジメしますし、冬場に暖房を使うと乾燥はします。それでもカビや結露がなくなるなど、一定の効果は感じることができます。
引用文献:林野庁
断熱性
無垢材はコンクリートなどと比べると断熱性(熱伝導率↓)が圧倒的に高くなります。寒い冬でもヒヤリと感じることは殆どありません。無垢材は空気を溜めることが出来る小さな隙間が沢山あることが理由として挙げられます。ダウンジャケットが温かい理由とも同じですね。
家の断熱性は他の様々な要因も重なってくるので、無垢材だけで温かいとは言えませんが、冬の我が家は温かくとても快適です。家の断熱に関しては、また別の機会に詳しく報告したいと考えています。
遮音性
上述した「断熱性」の理由とも重なりますが、空気層が多いことは遮音性にもつながると言えます。我が家の周辺環境が静かだという前提はありますが、外の音が気になることは殆どありません。
耐久性が高い
「適切な管理を行えば」という前提条件がありますが、長い年月保つことが出来ます。例えば、古都の神社仏閣などは千年を超える木造建築があることからも無垢材の耐久性が分かりますね。
増改築の自由度が高い
これは無垢材に限定される訳ではありませんが、木造軸組み工法(昔ながらの建築方法)では、壁を取り払っての増改築などが比較的自由に行えます。親をの同居や子供の独立など、その時の状況に応じた間取りにすることが可能です。
無垢材のデメリット
傷が付きやすい
簡単に傷が付きます。我が家の床も傷が結構あります。ただ、新建材フローリングの傷と比べると気にならないんですよね。無垢材の色合いが変化することで、傷が目立たなくなることもありますが、何というか傷も味わいになるんですよね。
小さな引っかき傷であればヤスリやワックス。深い傷であれば、濡れ布巾とアイロンなどで使うことで自分で補修することも出来ます。
伸び縮みをする
メリットで述べた「湿度コントロール」はデメリットにもなります。無垢材の水分含有量によって伸び縮みします。夏場の過湿時は木が延びます(膨張)。冬場の乾燥時は木が縮みます(収縮)。
結果、木材の割れ(クラック)や壁紙の隙間、建具の狂い(扉の開閉がし辛い)などの可能性があります。ただ、熟練の大工(工務店)さんは、それらも計算したうえで組み立てを行うので、家の性能そのものには影響しないと言われます。
我が家の梁にも大きな割れがありますが、性能上は問題ないとのことです。新築後初めての冬は「パシッ」と無垢材のクラック音が時々聞こえていました。
水分(汚れ)に弱い
無垢材は水分(汚れ)が沁み込みます。一度沁み込むとなかなか取れません…。ただ、これは普段のお手入れである程度予防することができます。
まずは、ワックスを定期的に塗ります。我が家では子供の玩具にも使える安心安全な「オスモワックス」を使用しています。ワックスの効果で防水性が高まり、早めの拭き取りで汚れを防ぐことも出来ます。
デメリットをデメリットとして捉えるか?
冒頭で「一定」の方々にはおススメ出来ると記載しました。「一定」とは細かいことを気にしないタイプになるかと思います。「無垢材=自然」でもあるので、全てが思い通りにはいきません。ただ、それも含めて受け入れられるタイプであれば、十分過ぎるほど無垢材のメリットを享受することが出来ると思います。